仏教には「知足(ちそく)」という教えがあります。
意味はとてもシンプルで、
「足るを知る」
今あるものに満たされていると気づく心の在り方です。
ところが私たちは、この「足りている」という感覚を
意外なほど簡単に見失ってしまいます。
何気ない「働く」という選択の裏にある、本当の自由
今、多くの高齢者の方が
「何もしないとボケるから」と言って
週に数日、無理のない範囲で働いています。
人と話したり、体を動かしたり。
生活にリズムをつけるためです。
地域の清掃活動
軽作業
短時間の仕事など
理由はさまざまですが
ここで、少し立ち止まって考えてみてほしいのです。
これ実は、
「働く・働かない」を自分で選べている状態なんです。
今日は働く
今日は休む
体調に合わせて調整する
そんな当たり前のように思える自由こそが、実はとても貴重な「幸せ」なんです。
選択肢が消えていく時代が、すぐそこまで来ている
心理学には「自己決定理論」という考え方があります。
人は、
- 自分で選べるとき
- 強制されずに決められるとき
最も幸福度が高まる、という理論です。
しかし、これから先
この「選べる自由」が、少しずつ消えていこうとしています。
- 年金だけでは生活が成り立たない
- 電気代、食材、医療費は上がり続ける
- スーパーでの買い物のたびに、財布が気になる
つまり、これからの現実はこう変わっていきます。
「体を動かすために働く」から「働かなければ生きていけない」へ。
「何もしないとボケるから」
そんな言葉が言える時代は、すでに終わっているんです。
今から「備え」を始める理由
禅の言葉に、「而今(にこん)」という言葉があります。
意味は
「今、この瞬間」
未来の不安に振り回されるのでもなく
過去を悔やみ続けるのでもなく
今、この瞬間に何を選ぶか。
それだけが、未来を変える力になります。
未来の不安を減らせるのは、今日の行動だけです。
- 転ばぬ先の杖
- 備えあれば憂いなし
これは、ただの昔の言葉ではありません。
これからの時代を生きるための、現実的な知恵です。
今の一歩が
- 1年後の安心
- 5年後の選択肢
- 10年後の自由
を守ってくれます。
日本人はほかの国と比べて
選択できる幸せの中にいます。
だからこそ選べるうちに、準備を始める。
これからの時代を不安ではなく、穏やかに生きるための智慧です。

